才園古墳(さいぞんこふん)6世紀-7世紀 熊本県球磨郡あさぎり町
もともと4基の円墳があったとされるが、現在は2基が存在する。(円墳が残るのは1号墳のみで2号は石室が露出した状態)
昭和13年に2号墳から、刀剣、玉、馬具類、鏡などが発見され、石室内部には赤く塗られた跡が残っている。特に金メッキされた鎏金獣帯鏡が話題となった。(直径 11.7cm、厚さ 3mm 青銅鏡(白銅鏡)の背面全体に分厚く鍍金。国指定重要文化財)
中国の鏡の研究者である王士倫氏によると、三国志時代(3世紀)に中国の江南地方(呉の領域)でつくられたものという。鍍金鏡は中国でもたいへん貴重なもので、日本では3枚しか出土していない。(一貴山銚子塚古墳:福岡県糸島市、城塚古墳:岐阜県三野)相当の実力者の墓とみられる。
中国で3世紀につくられたものが、中国国内で伝世した後、球磨郡にきたのか、それとも3世紀ごろに球磨郡にやってきて、伝世したのか。(出土品は熊本市立博物館が所蔵)
球磨郡は狗奴国の候補地でもあるが、邪馬台国に対抗するため呉と連携をとっている可能性もあり、注目されるべき出土品である。